―それは雪の降る寒い日の事。










私、佐々木 有紗(ささき ありさ)は中学三年生で、とある私立高校の受験を迎えていた。


中高大エスカレーター式なこの学園は、スポーツ・学業・芸術共に優秀な成績を収めており、この辺では有名な私立校である。

周りの人にここの生徒だと言えば、まず『まあ。優秀な子なのね。羨ましいわ』と言われるだろう。



入学するには、学力か才能かお金が必要な訳で…
肩書を得るには、それなりに人よりも勝るものが必要な訳だ。



しかも、中等部からのもち上がりが殆どだから、
うちの中学から今年受験するのも私一人。


入学受験会場に来てみれば、テレビで見ていた受験風景や人から聞いたものと比べ物にならないくらい受験生が少なかった。


それでも落とされる人が居るのだから恐ろしい。






そんな優秀校を受験したのは、親や先生の勧めがあっての事。



特に行きたい高校がある訳でもなかった私は、そのまま勧められるまま受験をしたのだ。