(姫様…いいえこれからは
夢境様とお呼びするんだった。
一人で大丈夫でしょうか…)
緋色がそう思っている間に、
夢境は腰に差している刀を抜刀し、
妖魔に斬りかかる。
斬れた!と思ったら血しぶきが
顔に飛びついた。
今回の妖魔は血を持っているようだ。
なんとか十匹程度倒した所で
涼夜のうめき声が聞こえた。
「うああああ!」
何か痛めつけられているに違いない。
妖魔を斬り倒しながら目をこらす。
奥では涼夜が沢山の妖魔に
囲まれながら痛めつけられている。
夢境は怒りがわいてきた。
「涼夜を傷つけんなああああ!」
今までに感じたことの無い感情だった。
その刹那、自分の剣が炎をまとった。
そして、透き通った
エメラルドグリーンの瞳が
朱く染まった。
(夢境様!?まさか、それは私の
生まれた忍びの里の家宝。
焔の戦神の剣!?
何故夢境様が…!?
まさか焔の戦神が選んだの?)

夢境は剣に目を見はった。
何故炎をまとうようになったのか
わからない。
だが、妖魔を倒しやすく
なったのだろうと試しに剣を振った。
すると数十匹の妖魔をいっぺんに
倒す事ができた。
「は、ははは!これはいい!
これでおまえらを
倒すことができる!」
緋色は狂ったかと思った。
鬼神の如く形相で夢境は
妖魔を倒している。

やっと全部斬り殺した頃、
突然夢境の脳内で声が響いた。
『オマエノオカゲデ コノ
ホムラノイクサガミハ 
ヨミガエッタ 
オマエヲイイヨウニ
ツカッテヤル
アノオトコヲ 
コロセ  コロセ コロセ』
夢境は頭を抱えて苦しがった。