やっと歩き出した三人は暗がりの中を
ひたすら歩き続けた。
緋色が一つ言葉をこぼした。
「なかなかこの森。
抜けられませんねぇ…
どうなってるんですぅ?」
夢境もずっと気にはなっていた。
こんなに深い森ではなかったはずだ。
これからどの方角へ行くか相談するため、
涼夜がいた方に向いた。
が、そこには涼夜はいなく、目を疑った。
「おい!涼夜!?どこへ行った!?」
夢境と緋色は青ざめた。
迷子か…
(この歳で…?)
もう16歳なのに迷子だなんてちょっと
笑ってしまう。
だが笑っている暇はない。
早く見つけ出さなばならない。
二人は素早い動きで探し回った。


何か向こうで物音がした。
ゆっくりと草の影から
様子をうかがった。
「ふしゅー
げええー
ぐわあああ」
すごく気味の悪い声がした。
それは大量の妖魔だった。
よく見ると奥で涼夜が口を塞がれたまま
捕まっている。
緋色は妖魔を倒そうと出ていこうとした。
だが、夢境はそれを手で制した。
「オレが行く。
緋色はここで待っていろ」
緋色は
それは自分が足でまといに
なるからなのか?
と思ってしまった。
少し悔しくなった。
自分だってちゃんと過酷な訓練を
乗り越えてきた忍びだ。
だから緋色も行きたかった。