夢幻~妖~

ハッと目を覚ます。
嫌な夢を見た。
だがぼんやりとイメージが浮かぶだけで、
あとは何も覚えていない。
とりあえず井戸に行って顔を洗おうと思い、
立ち上がろうとする。
ガチャッ
何かが足に当たる。
…布団をめくるとそこには昨夜、
部屋の隅に置いておいたはずの戦神憑きの刀があった。
(こんなに近くに置いてあっても移動してくるのか)
と少しショックを覚えた。

次の日は襖の向こうに。
その次の日は台所、
と毎日、毎日場所を変えているがやはり自分のもとへ
帰ってくる。


ある日、また別のところにこっそり置きに行くと、
「ここ最近、何やってるんです??」
ビクッ
「いや…あの…」
「置いたら取りに来ないし、
来ないから持ってってあげようと思ったら
そこに無いし、どうなってるのかしら?
まるでその刀が移動してるみたい…」
…図星だった。
その通りなのだ。
なら事実を言うしかないと夢境は思った。

「実は、この刀、持ち主から離れると
いつの間にかすぐ近くに移動しているんだ…」
「そう…」
と考え込んだように難しい顔をする。
(あれ…思った以上に驚かなかったな…)
これは普通の人の反応ではない。
そう思った。


「なら、わたしの蔵に置いておけばいいと思います。
扉があるからきっと移動しないはずですよ」
おお、と声を出した。
夢境は関心した様子だ。
凛は早速蔵へ置きに行った。


(本当はこの刀をいただく作戦よ!!
でもいきなりは危ないからしばらくしたらにするわ)
蔵には沢山の荷物があった。
その荷物の上に置いておいた…