夢幻~妖~

「ねぇ、さっきの人さ…」
凛に尋ねてみる。
「ん?」
凛はジュルジュルっと音を立ててそばを食べながら、
顔を上げた。
なんとなくお昼はそばが良いと言ったから
今食べている。
「オレ達が去ったあと追いかけてこなかったよね。
それに何も言葉を発さなかったし…」
夢境がこう言うと凛は一瞬体全体が止まった。
嫌なことを訊いてしまったのだろうか…
「わたしが睨んだの見たでしょう??
きっとあれで怖気づいたのよ!!」
よく見ると冷や汗が出ている…
「そっか…」
と言っておいたが、何か隠していると確信した。


そばを食べ終わり、
凛の家へと帰った。
自分が一か月間眠っていたあの部屋へ戻る。
そしてそこで一息ついた。
いつも一人で行動していて人馴れしていないのに
よくもまああそこまで一緒にいられたもんだと
勝手に関心していた。

不意に怪我をしていた場所を見る。
何も残っていないと分かってはいるが、
驚異的な早さで治るのは自覚している。
この体質は便利でもあるが多分これを見た人は
怖がって逃げるだろう。


なんかもうやる気が起きなくなって眠気が襲う。
刀を部屋の隅に置き、布団に寝転がった。
そしてそのまま一夜明けてしまった…