夢幻~妖~

久しぶりに屋外へでたせいか、
陽の光が思った以上に眩しく、
戸惑った。
するとサッと日陰ができる。
上を見てみると日傘が…
凛がさしてくれている。
そしてニコッと笑った。


広い通りを真っ直ぐ歩く。
「これからどこへ向かうのか??」
「いえ、体慣らしに歩くだけです」
またも笑いながら言う…
ずっと笑って疲れないのだろうか…
と夢境は思った。


突き当りを曲がろうとすると、
後ろから声をかけられた。
「お前、見ねえ顔だな」
夢境が振り返ると長身で若い男が腕を組み、
家の壁にもたれかかって立っている。
凛はすかさず夢境をかばう。
「あら、いいじゃない。
またこの村賑やかになるわよ」
男はしかめっ面をする。
「まるでもともとこの村にいたみたいな
言い方しやがって。
あんたも一ヶ月ちょっと前に来た
よそ者じゃねえか」
夢境はチラリと凛を見る。
凛は男を睨んでいた。
その顔が背筋を凍らせる程の冷ややかさだった。
冷ややかさを保ったまま凛は
「もう帰りましょう」
と言い、夢境の手首をガッチリ掴む。
引っ張られる状態で連れて行かれた。


しばらくして、掴んでいる手の力がゆるくなってくると
凛の歩調を合わせる事ができるようになった。
また凛の顔をチラリと見やると感情が読み取りにくい
真顔になっていた。
ずっとニコニコと笑顔の凛がこんな表情をするのか、
と思っていたその時、
すっとこちらに顔を向けた。
もう笑顔が戻っている。
(わっ、びっくりした…)
「ねぇ、今日のお昼は何がいい??」
キラキラと眩しい笑顔に、
夢境は後ずさるだけだった…