涼夜(りょうや)と言う男が宿を出てきた。
そのとたん若い女が大勢群がってくる。
うっとうしい程に…
そして、ある女が寄ってきて、
「ねぇ、涼夜様ぁ~
この芽吹村(めぶきむら)の
近くの小高い山で、妖怪がでるのよ
すごく怖いの」
と話した。
身震いしながら話している。
涼夜は妖怪など信じてはいないが、
いない事を証明してやるために
視察しようと考えた。



暗い森の中を涼夜は一人歩いていた。
だが、女達が言っていた妖怪は
出てこなかった。
「何も出て来ないな…
あの噂はどうせでたらめだろ?」
と、引き返そうとした。
その刹那!!
目の前をかまいたちが過ぎ去った。
左を恐る恐る横目で見る。
なんと、人間で言う手の部分が
カマのような形をした虫の姿をした妖怪が
空中を飛んでいた。
「ほ…ほんとにいたのか!?
この世に…
だがこんなもん恐くねえよ!!」
こう言い放ち刀を抜いた。
そして、妖怪に斬りかかった。
だが妖怪は一瞬で移動し、
刀は空を切っただけであった…
「なに…!?」
この時初めて妖怪の力の大きさに驚いた。
そう思っている間にまたかまいたちが襲ってきた。
「危ないだろっ!!」
と、言い放ち一瞬で切り倒した者がいた。
その者は髪が白かった。
(白夜叉!?)
と思わせる様であった。