夢幻~妖~

一瞬胸が苦しくなったのはとある前兆だった。
ソレは自分の中で蠢く(うごめく)
「あいつ」の
せいのようだ。
(出て行ってくれたらいいのに…)
心の声が聞こえたのだろうか。
(オマエカラデテユクリユウガナイ。
コノカラダハイイ。コノホムラノイクサガミノ
イイヨウニツコウテヤロウ。ヨロコベオンナ)

もうソレは神ではない。
殺戮を楽しむ悪魔のようだ…
もう誰からも血を流したくない。
そう思っているのに、焔の戦神のせいで、
体が逆の方へと動く。
瞬く間に「化け物」と叫び逃げたヒトは、
自分の刀を最後に、死んでいった。


違う。違う。違う違う違う!!
ほんとはこんなことをしたくはない!!
「うあああああぁあああああっ!!」

地に手をつき戦神の呪縛に苦しみ悶えながら
なんとか刀を鞘に収めることができた。
すると、朱く染まった瞳の色は消え去り、
あのもとのきれいな
エメラルドグリーンへと戻っていった。

ハアッ ハアッ
と激しい息を繰り返す。
「やっと、治まったんだ」
一言口にすると
目から雫が溢れてきた。
まだ戦神が体の中に潜んでいること、
またいつか暴走するかもしれないという
不安も重なって、しばらく泣き続けた…