夢幻~妖~

三人は警戒する。
これほどの強い術を操れるとは、
ただ者ではない。
炎がやっとおさまると風が起きた。
その拍子に身にまとっていた布の頭部
が脱げてしまった。
三人に衝撃が走る。

夢境とよく似た顔だった。
特徴的な白髪、目鼻立ち。
だが、体つきは夢境と比べ男らしい。
「疾風丸を死なせるとは…」
少し悲しい顔をする。
(視察するだけだと
言っていたではないか…)

夢境は睨んだような目つきで見つめる。
男はその視線に気づいたのか、
こちらに顔を向けた。
「久しいな、夢境」
夢境はあの男を知らない。
もし会っていたとしてもきっと、
記憶が無くなっている幼い頃だろう。
「オレはあんたを覚えていない。
だが名を聞けばもしかしたら…」
「幻と言う」
思い出せそうで思い出せない。
「そうか、ならばそのうちに
思い出させてやろう」
突然バッと前に手を出した。
衝撃波が三人を襲う。
気がつくと涼夜が消えていた。
緋色までもがその場から消えている。
夢境に悪寒が走る。
後ろへ後ずさる…

「私が怖いのか」
寂しげに言う。
「今日の所は下がるとしよう…」
だが、二つ言っておく。
お前は人間の血で作られた妖だ。
だから半妖だ。
そしてもう一つ、
タダの人間が神の力を得るという事は
不死になるということだ。
だが夢境。
お前は生まれた時から不死なのだ。
わかったな?」
そう言って、一瞬にしてどこかへ
去ってしまった。