少し時が経って夢境は完全に
意識を取り戻した。
そして、朱く染まっていた目は
あのきれいな
エメラルドグリーンに戻る。
そのとたん、夢境はへたっと
地面へと座り込んだ。
息も絶え絶えだ。
操られた自分の体は、手は、
血で染まっていた。
涼夜は安堵したが、その刹那
倒れ込んだ。
沢山体を傷つけられ、もう限界だった。
「涼夜!」
この時珍しく夢境は涼夜の名を呼んだ。
目から沢山の涙がどっと溢れ出た。
それと同時に緋色がやっと駆けつけた。
緋色は一度涼夜に息はあるか確認し、
「怪我の治療をします!!
こう見えても私、忍びのなかの救護班
なんです!」
こういうとき頼りになった。
そして、
「剣の事は…
涼夜が意識を取り戻した時に話します」
と顔を曇らせて言った。