しばらくして落ち着いたのか、芹はまたドアに体を向けた。


「じゃあ、またね」


そう、芹の背に声をかける。


「あのね、これは、本当に言わない方がいいのかもだけどね

葉山くんの目、少し赤かったの…

もしかしたら、泣いてたのかもしれないよ?」


そう言い残して、芹は部屋を出て行った。


私はまた、頭を回転させた。

鈍く、ゆっくりと、グルグルと。


泣いていた?

祐介が?


なんだか、信じられないよな話。


でも、芹が嘘を言ってるようにも思えない。


でも、泣く理由なんてない。


なんで?

どうして?


わからない。


自問自答を繰り返して、また闇に落ちていく。


ダメだ。

熱が上がった気がする。


私のことなんて嫌いなくせに。

なんできたの?


祐介…やっぱりわからないよ。

私はあなたがわからない。




「ダメだ、寝よう」


これ以上考えても一緒なんだから、寝よう。


寝て、まずは体調を治そう。


私は薬を水で流し込むと、ベッドに横になった。