「翔くんも、きっとその気持ちを糧に頑張ってるわよ」

「うん…」

「だからとりあえず、勉強しなさい」

「はあい…」


目の前の教科書とルーズリーフに向き合う。

翔が頑張っているからと思えば、
勉強もバイトも頑張れる。

左手の指輪を見つめ、気合いを入れ直す。


「よっし!」


翔が頑張っているのに、自分だけ逃げているわけにはいかない。

翔が帰って来た時、恥ずかしくない自分でいなければいけない。

その思いだけが、茉柚の原動力となっていた。



―・・・



「お疲れさまでした~」