「そんな事言って、居酒屋だって大変でしょ?」
メニューを広げて覗き込みながら会話を続ける。
「いや、まあな。酒入ってる分性質悪い客とかも居るし。
カフェだとそういうの少ない?」
「あ、でもこの店ね、夜はバーにもなるの。
ビールがぶがぶ飲んで騒ぐような人はさすがに居ないけど、
この前女の人が酔い潰れてね、それは大変だったよ」
「あー、やっぱ飲食業…てか、接客業って大変だよな」
「ねー。あ、これ翔好きだと思うよ。
うちの店のエスプレッソ絶品なの。
プラス、今日は拓未さんが居るから尚更お勧め」
「たくみさん…て、さっきの人?」
「うん。先輩なんだー。ラテアートとかも上手いよ!
今度教えて貰うんだ~」
「…へえ、」
目の前の楽しさと不安でいっぱいで、
翔の表情は見えていなかった。

