あるよく晴れた日のこと。雅魅は、屋上である人を待っていた。
「まったく・・・。ねむたさんってば何をしていらっしゃるのでしょうか?」
二つに結んだふわふわな髪をそよ風になびかせながら雅魅はねむたを待っていた。ねむたとは、雅魅の幼馴染で本名は、水田陽佑だ。二人共、昼寝研究会というなんのために作られたのか定かではない部活動に昼休みだけ参加している。いわゆる、サボリ部だ。
「みやび~?どこ~?」
しばらくすると、金髪の少年が姿を現し、雅魅の名前を読んだ。
「ここですよ~。ねむたさん!遅かったですねえ、何かあったんですか?」
雅魅が問うと陽佑は、顔を曇らせ渋ったような空気を漂わせた。どうやら、また先生に怒られたらしい・・・。
いつものことながら、授業中に寝ていたり落ち着きがないといったところだろう。
「だって、こっちとあっちでは、時差が違うし・・・。」
そう言うと陽佑は、雅魅の膝に頭を乗せ、空を見上げた。
雅魅と陽佑は、元イギリス出身で親の影響でこっちに移住してきた。もう五年も前になるが、そのことを理由に、いいように陽佑は授業中寝ていたのだが、もうそんなに経ったのに、時差ボケなんてありえないと先生たちも気づいたんだろう。放課後呼び出されては、補習を受けさせられている。
「まったく・・・。そんなんじゃいつまでたっても先生たちからは逃げられませんよ?」
陽佑の髪を撫でながら、言っているといつの間にか寝たらしい陽佑の寝息が聞こえてきた。
「もう・・・。」
いつものパターンだ。陽佑の寝顔や寝息を聞いていると、雅魅まで眠くなり、深い夢の世界へと意識を手放した。
