花の名前

あたしは、ふいに言った。


「死んじゃうなら、こんな夏の朝がいいな」


横に座っているあたしの身体を


自分のほうに引き寄せながらトモが聞く。


「なんで?」


トモの目は、海の向こうの方を見てた。


「だって、こんな青い空気にとけながら死ねるなら、

あたしは嬉しいな。」