「見てるでしょ」

「・・・見てない」

 微笑が影響しているのはちゃんと判ってる。さっきよりは格段に勢いがなくなった声で、彼女は視線を外した。

 雑誌を床に置いて、俺は目の前の女の子をじっと見た。

 この子と付き合って・・・えーっと、半年くらいかな?ついに、来たか。そんなことを思っていた。


 女の子はよく、宇宙語を話す。


 よく判らないタイミングで笑うし、いきなり膨れて怒り出す。


 ・・・この子も、やっぱり宇宙人だったか。


「俺は今、君といるでしょ」

 今付き合っているこの“子猫ちゃん”は腰のところが気持ちいい。彼女の腰に手を回して引き寄せるときの感触が、俺は好きだ。

 柔らかく俺の手にもたれかかるその重さや温かさが。

 昨日の夕方にした、その行為とその後のことを思い出していたら、彼女の緊張したような声にハッとした。

「ハル!」

「―――――うん?」