君と出会ったのは、まだ小学生の延長のような中学1年生。
あの頃君は、すっごく背がちっちゃくてリスって呼ばれてたね。
それから1年が経った今。
私は正直あなたが苦手でした。
「祥太ー!ボールちょーだいっ♪」
私たち女バスが毛嫌いしてる男バスだったから。
今日も体育館に響く低い笑い声。
「ほんとふざけてばっか。」
「ちゃんと練習しろよ。」
「なんで練習してないのに、上手いの⁉
不公平すぎる!」
ほんと…私たちの方が頑張ってるはずなのに。
特に私は…。
「中谷ー。ボール取ってきてよ。ついでに保冷剤持ってきて。」
下手だから、みんなの役に立つことをしている。
「わかった。」
気が弱い。
よくそれで、「気がきく」とか「優しい」とか言われるけど、実際私の取り柄はそこだけ。
気が弱い自分が嫌なはずなのに、
今日も変われずにいる。
私はちらっと男バスを見た。
ほんとお気楽。
だから…嫌いなの。
見てると
泣きそうになるから。