バタフライ

十五階建てのビルの屋上は、


地上何メートルなんだろう。


ウサギと手を繋いで、眼下を見渡す。


あたしたちが育った、地方都市。


上から見ると、結構、緑が多い所だったんだ。


あたしたちも、もうすぐ自然の一部になる。


公園、学校、大きな川。

幼い子供、大人、お年寄り。


あたしは、それら一つひとつを記憶するように見ていた。


ウサギも、柵にもたれ掛りながらそうしていた。


まるで、終わっていく世界を慈しむように。