動物たちを救い、癒してきたその指。もっともっとずっとずっと触れていてほしい。

 人間という生き物は感情がはっきりしている分、面倒な事は曖昧にしようと残酷になるから、私は触れ合いを求め、こうして欲求が高まってしまう。

 彼氏がいるのにこんな風に思うなんて、私の心は煤で汚れて真っ黒だ。

 今まで暗く長い煙突の中で漫然と充満していた。

 でもほんの少しかもしれないけど、純真な白も混ざっている。


 その色はグレー。


 私と城田さんがこれから始めようとしている行為を察知しているかのように、グレーが二人の足元に纏りついていた。

 頭ひとつ分のスペースがあれば悲しみを抱えた不満足な愛から抜け出せる。猫が狭い所を擦り抜けられるように。




【その色はグレー*END】