バーカウンターにぽつりと座る。 ぽつりと溜め息……。 ぽつりと涙が零れて……、ぎゅっと目を閉じた。 全てを塞いでしまいたい。目も耳も口も感覚も塞いでしまいたい。 色褪せた過去の栄光という古いアルバムをそっと閉じるように……。 「大丈夫か?」 その思いがけない言葉で目を開けるとそこには櫻井部長の姿があった。 「えっ、あっ、はい、大丈夫です」 びっくりして、気管支から抜けるように、ひゅーっと声が上擦った。