「さて、行きますか?」 「えっ、どこへ?」 「どこって……ラブホ、じゃないですよ。会社です」 「バカっ。わかってるわよ」 吉沢くんが背中を向けてしゃがんだ。 「はい、おんぶ。たまには僕の事も頼ってください」 正直、疲れていた。 母ひとり子ひとりで育ってきた私は母に迷惑をかけまいと、苦労させまいと、どんな事でもひとりで乗り越えてきた。