学校行事『親子マラソン』のために毎朝走っているという、ぽっちゃりさんの有紀は、右足のパンプスを脱いで見せた。
「ねえ、麻子、ちょっと見てよ。ひどいでしょ」
見ると、踵は靴擦れ。小指には小さな豆ができていた。
「やんなっちゃう。でも、息子に恥かかせないためにもやるしかないもんね。後一ヶ月。頑張らなくちゃ」
痛そうだけど有紀の口角は微笑むように上がっていた。
有紀はお母さんになって強くなった。
学生の頃は教室の隅で大きな体を小さく丸めていつも泣いていたのに。重そうだった黒縁眼鏡もコンタクトにして、見た目の印象もお洒落になった。
人ってこんなに変われるものなんだ。
私は立派なお母さんになった有紀を尊敬している。直弘くんと完走できるように頑張ってね。
「ねえ、麻子、ちょっと見てよ。ひどいでしょ」
見ると、踵は靴擦れ。小指には小さな豆ができていた。
「やんなっちゃう。でも、息子に恥かかせないためにもやるしかないもんね。後一ヶ月。頑張らなくちゃ」
痛そうだけど有紀の口角は微笑むように上がっていた。
有紀はお母さんになって強くなった。
学生の頃は教室の隅で大きな体を小さく丸めていつも泣いていたのに。重そうだった黒縁眼鏡もコンタクトにして、見た目の印象もお洒落になった。
人ってこんなに変われるものなんだ。
私は立派なお母さんになった有紀を尊敬している。直弘くんと完走できるように頑張ってね。


