『靖馬シズマ)…そうか、幸衣は死んだのか…』

地元に着けば
親父、神無月靖馬が私を迎えに来てくれた。
私は靖馬にすべてを話した
靖馬は私を抱き締め
私に頑張った、頑張ったと言って頭を撫でてくれた。

私は高校を出たら
幸衣を連れてこっちへ帰ろうと思ってた
そして、幸衣のお母さんを捜してやろう…と。

なのに、もうそんな必要はなくなってしまった。


『一颯)靖馬…』

『靖馬)帰ろう…』

靖馬は私をそっと抱き上げ家へ連れて帰ってくれた。


〝靖馬、幸衣、兄ちゃんたち……私…疲れたよ〟


目を瞑れば思い浮かぶ
幸衣の笑顔が
忘れられない

目が熱い


『靖馬)泣いとけ』

『一颯)っ…ぅうっ…』

私の瞳から止めどなくあふれる涙
拭っても拭っても止まらない

私は久し振りに声を上げて泣いた

苦しくて悲しくて
そして、寂しくて

『一颯)幸衣ぇっ』

思い浮かぶのは
笑顔の幸衣と
二度と目を覚まさなくなった

幼くして永眠した
幸衣の顔…