__パァアンッ

病院の廊下に響いたその音は
母親が私の頬を叩いた音


『一颯)……なんや、子供に手ぇ上げるんか』

『照華)あんた、えぇ加減にせんかい!!
どうしてもっと自分を大事にせんねん!!』


大事にしない?
させないんでしょ?
私は役者だから
金になるから
顔に傷だけは付けさせないようにしてるよね
私は所詮玩具
あんたの金の為に働かされてるだけ


『一颯)関係ないやろ』


顔を逸らし受付に行きお金を払うと薬を貰いロビーにいる
なっちゃん達の元へ戻る


『照華)待ちぃ!!
あんた、朋夜達と会ってるんだってね』


『一颯)…同じ学校だから、会うのは当たり前だよ』


不安そうに私たちをみる
なっちゃんの頭を私は優しく撫でた


『照華)今から、あの人の家に行くんだろ』


『一颯)だったら?なに?無理矢理にでも連れて帰る?
そんなの嫌だね!!
無理矢理、親父や朋兄達から私を離して
お前は私をただ役を演じる玩具としか扱わない!!
私が苦しくて泣いてても
健一って男と良い歳していちゃついて!!
子供いるんにセックスしてさぁ!!
幸衣サキエのことも考えてやったら!?』


私のかわいいかわいい義妹咲恵…
彼奴は可哀想だよ
大好きなお母さんと離れ離れにさせられて
大嫌いな健一に連れられ
憎い彼奴と住まされ
可哀想だよ


『照華)好きにすればえぇ!!』


そいつは怒った様子で病院から出て行く
私は近くの看護婦に謝るとなっちゃん達を連れて駅へと戻る