『奈月)うちは書けたよ?

うちは将来漫画家になりたい。
せやから、この学園にある文芸部に所属して
たくさんの絵を描いて
みんなに評価してもらいたいんです。
そのために文芸部に入りました。

ってね?』

__パチパチッ

私が拍手をすれば
みんなが拍手をする
いや、一部の女子を除いて

すごいよ、キミは

夢があるんだから

私に夢は
ないのかもしれない


『一颯)……なれるなら、武士…かなぁ』

『綾音)武士??』

『一颯)っ!!いきなり現れないでっ』

私の独り言に返事が返ってきたのはこれが初めて
そして、返事をしたのは


【うち、近藤さん、嫌いや】

なっちゃんが嫌う
近藤綾音やった

私が近藤さんの方を見ると自己紹介文の紙を持っていた


『綾音)私も沖田さんのファンなんだっ』

笑顔で話し出す近藤さん
二人で沖田さんの話で盛り上がっていると


__キーンコーンカーンコーン

授業が
今日の学校の時間が終わるチャイムが鳴る

『奈月)……いっちゃん!!一緒に帰ろ!?』

『一颯)うんっ……て、え?なっちゃんって電車通学??』

振り返っていきなりの質問に私は咄嗟に頷くが
ふと、疑問に思ったことを尋ねると
なっちゃんは笑顔で頷く


『奈月)うんっ…港から来てる!!』

港…遠いなぁ

『一颯)…よし!!今日は港区で遊ぼう!!』

『奈月)誰と?』

『一颯)なっちゃんに決まってるでしょ?
あ、駄目だった?』

『奈月)全然!!遊ぼう!!』