失った大切

『奈月)…へえ、一くんファンなのだ…』

楽しそうに笑う平野さん

『一颯)良いこと教えたる
斎藤さん役の人
私の従兄弟だよ
しかも、このがくぇ『いっぶきー!!』ん…』

私の言葉を遮り飛び付いて来た
ある意味KYな男
無月六実ナヅキムツミは
私の一つ上の従兄弟さん

『一颯)むつ、邪魔』

私は素速く六実を退けると
倉本くんの前にたたせる

『一颯)斎藤さん!!斎藤さん!!
目の前にいる、んーと、倉本祐一くんって
斎藤さんのだーいファンなんだってさ!!』

えっほん!!と咳払いすると
私は声を変え笑顔で沖田さんになりきると
六実ののったのか表情が無くなるがほんのり頬は赤い

『六実)そ、そうなのかっ
倉本…と言ったか？
この後、俺と飯に付き合え
その時ゆっくり話そうではないか』

六実は目を泳がせつつも
倉本くんの目をしっかりと見てから微笑む

『祐一)は、はい!!喜んで!!』

倉本くん、よかったね
憧れの斎藤さんと食事が出来て…




『広瀬)…おーい、クラス写真行くぞ…』

広瀬の声はみんなをすぐに現実へと戻させ
私たちはリボンを結びネクタイを締め撮影する教室へ向かったのだ…