キミの背中。~届け、ラスト一球~



ちゃんと届いたかな……。


電車があっという間に過ぎても、あたし達はしばらく陵雅さんに向かって叫び続けていた。


電車の騒音と自分たちの声がなくなると、辺り一面無音の世界になる。


うるさい音から一気に静かになったので、耳鳴りもする。


「行っちゃった……」


あたし達は、横断幕と旗を一緒に下ろし、電車の消えた方をジッと見ていた。


「元気出せって」


脱力するみんなに、草太が声をかける。


「よくやったじゃん。
ほら、おまえらの想い、ちゃんと兄さんに届いたみたいだぞ」


そう言って、草太は笑いながらスマホをみんなに見せた。


ラインで動画が届いている。


電車の振動で手元がぶれているが、確かに、電車の窓から小さなあたし達が映っていた。


みんなで一生懸命声を張っている姿、後ろで大きく体を使って旗を振る部員の姿。


『がんばれ 兄さん!』


あたし達の書いたメッセージは、きちんと陵雅さんに見えていたみたいだ。


『ありがとうみんな。みんなの気持ち、確かに受け取ったよ』


陵雅さんからのライン。