キミの背中。~届け、ラスト一球~



陵雅さんの出発の日は、よく晴れて寒さも控えめだった。


あたし達は部活があり、見送りにはいけないと前もって草太が言ったようだ。


陵雅さんは「俺のことはいいから、部活に専念しろ」とみんなの予想通りのことを言ったみたい。


陵雅さんは新幹線で行くと言っていたので、その為にはまず電車で新幹線の通る駅まで行かないといけない。


その電車はウチの高校の近くを通り、途中に視界を何も遮るものがない陵雅さんにメッセージを見せるには最適な場所がある。


あたし達は電車の出発時間のかなり前にその場で待機をした。


電車が通るまで、あと15分はある。


あたしはミナと横断幕を持ち、その後ろにユニフォーム姿の野球部員達が手作りの大きな旗を支えていた。


風も少ないから、大きな旗も振りやすいはず。


「そろそろ、兄さんにラインしてみるかな」


草太がユニフォームのポケットからスマホを取り出し、陵雅さんにラインを打つ。


「なんて打ったの?」


あたしは草太に聞く。


「え?ああ、座る席は必ずウチの高校側に座って下さいって。まずはそうしないと、俺らがいくらここで声張っても兄さんは気づかないだろ?」


「ああ!確かに!」