別れの準備……。
あと2カ月ちょっとだもんね……。
「そうかもね、兄さんそういうところしっかりしてるから」
ミナが静かに言う。
別れか……。
寂しいよな……。
「兄さんの引っ越しの日、俺達で何かします?」
「なにか?」
草太が後輩の言葉に聞き返す。
「兄さんの見送りのときに、何か渡すとか。俺も具体的なものは考えてないっすけど」
「見送りの時に何かね……」
草太は言いながら、飲み終わった甘酒の紙コップをあたしの分も捨てに行ってくれた。
「でもさ、兄さんの性格をよく考えてみろよ。
ああ見えて兄さん感動やだろ?俺達の前じゃ絶対に泣かないけど、隠れて泣いてんだよひとりで」
草太が言うと、部員達は笑いながら頷いた。
「だから俺達が前もって兄さんに出発の日に~とか伝えると、兄さん落ちつかないと思うんだよな」
「言われてみればそうっすね」
草太の意見に、部員達が同意する。
「ぶっつけ本番でうまくいくかはわからないけど、兄さんに何かメッセージを送るなら、ひとつ俺に考えがある」