キミの背中。~届け、ラスト一球~



せっかくミナと会ったから、あたし達3人は一緒に参拝することにした。


人ごみに押し潰されないように、時々草太が自分の方にあたしを引きよせる。


それを見逃さなかったミナは、ニヒっと気持ち悪い声を出して笑った。


参拝を済ませ3人で甘酒を飲んでいると、ひとりまたひとりと、野球部のメンバーが集まって来た。


地元の神社だと隠れることは出来ないね。


あたし達のいつもと違う雰囲気を見て、すぐに付き合いだしたと勘付かれてしまった。


はやし立てられながらも、くすぐったくて何だか嬉しくなる。


「あ、そうだ湯野さん」


1年の後輩が甘酒を飲みながら何かを思い出したようだ。


「兄さんのことなんですけど、最近やたら俺らにラインで近況を聞いてくるんですけど、どうしたんすかね?」


後輩が言うと、みんなも顔を見合せながら「確かに」と頷く。


「ああ、俺にも来るな。部員達はどうだとか、キャプテンできついことはないかとか……」


草太が上げていくと、みんなが「受験で大変なのに……」と不思議そうに言っていた。


「あれっすかね。もう受験や引っ越しが近いから、別れの準備をしてるとか?」