地元の小さな神社に着くと、初詣に訪れたたくさんの人で賑わっていた。
綿あめのあまい匂いやイカの香ばしい匂いがする。
神社までは階段を上らないといけないので、あたしは滑らないように慎重に上った。
「ほら」
横から、スッと草太の手が伸びてくる。
「滑りそうなんだろ?掴まれば?」
ああ、やっぱダメだ。
照れる……。
あたしはニヤケる口元をマフラーで隠し、そっと草太の手を握った。
お互い手袋を付けているから、とても温かい。
「すごい人だね」
「まぁ、毎年のことだろ」
草太の声が、マフラーにこもる。
あたしは草太と手を握りながら階段を上り、神社にどのくらいの人がいるか背伸びをした。
その瞬間、足元の段差に気づかず、つまずいてしまった。
「うわっ!!」
体が前のめりになって、そして止まる。
隣の草太が瞬時にあたしを抱きとめてくれたんだ。
「おっまえ、気を付けろって!なんの為に手貸してやったんだよ!!」
「ご、ごめん」