静かなパートを抜け、またタンギングの激しい明るい曲調に戻って行く。


それぞれ目配せをしながら、キレのいいリズムを合わせる。


最後に曲を盛り上げていき、タタタタン!と、体中を使って曲を締めくくった。


やった……。

やりきった。


今まで以上の仕上がりだったと思う。


音も外さなかったし、リズムが崩れることもなかった。


音が何もなくなり一瞬シンと静まりかえった客席から、ワッと拍手が沸き起こった。


見ると、一番前の席に座っていた他校の生徒が涙している。


それを見て、あたしは肩で息をしながら、口角を上げた。


後方に目を向けると、ミナも涙しているようだった。


頬を手で拭いながら、こちらに向かって大きく手を振っている。


その隣の草太も、何だか嬉しそうに微笑んでいた。


あたし達はお互い目を見合わせて、長谷川さんの合図で深く頭を下げ、舞台横に戻る。


安心のせいか、今頃になって涙が溢れてきた。


気持ちよかった。


久しぶりにこんな演奏が出来て、すごく幸せだった。


体育館中に響いていた自分たちの演奏がまだ耳に残っていて、更に感動が大きくなる。


あたし達はみんなで涙を流し、抱き合い幸せを分かち合った。