あたしはいてもたってもいられなくて、教室を飛び出し草太を探した。


きっと昼休みに友達と購買に行っていると思う。


「草太!!」


あたしが叫ぶと、草太と数人の友達が同時に振り返る。


「なに?おまえの分買うカネないけど」


そう言って草太は呑気に財布を持ち上げる。


「違う!!そんなんどもでもいいし!!ちょっと来て!!」


「ちょ、おい!!引っ張るな!!」


あたしが無理に手を引くと、草太が体勢を崩しながらもついてきた。


「ごめん、先に食っといて」


草太が友達を振り返り、片手を上げる。


あたしはしばらく廊下を歩き、人ごみが落ちついた場所で草太の手を離し草太を見上げた。


「どうして黙ってたの?」


あたしが言うと、草太は「は?」と眉を上げる。


「陵雅さんのこと!!知ってたんでしょ?陵雅さんが県外の大学に行くって」


あたしがまくし立てると、草太はやりにくそうに首の後ろをかき「あ~」と言葉を濁す。


「別に隠してたわけじゃ……」


「そういうのさ、知った時点で教えてくれるのが優しさってもんじゃないの?あたしが陵雅さんのこと好きなの知ってるくせに!!どうして教えてくれなかったの?」