今日は何だか気分が落ち込む。
生理前だっけ……?
「おまえさ」
「ん?」
もう暗がり始めた帰路を、草太と肩を並べながら歩く。
左側からは川のサラサラと流れる音と、右側からは草太の押す自転車のかわいた車輪の音。
「いや……なんでもない」
言いかけておいて言葉を濁らす草太をギロリを睨む。
「なに?気になるじゃん」
「いや、別に今更聞くのも何だけどさ。
おまえ、マジでもう吹部やんないの?」
ピクリ。と耳が動く。
「まぁ、高2の今から始めてもな」
そう言って、草太があたしよりも少し前を歩いた。
カラカラカラカラ。
車輪の音が、虚しくあたしの心に絡みつく。
『吹部やんないの?』
サラサラと流れる川と、カラカラと虚しい車輪の音と、妙に痛むあたしの心。
あたしは足元の小さな歪な石ころをつま先で蹴った。
コロコロと転がった石ころが、ポチャンと川に落ちる。
ああ……気分が上がらない。
きっと、生理前なんだ……。