薫がエレベーターを降りて、外廊下を歩いてきた。 まだ俺には気づいてない。 アイツをここで待ち伏せするようになって、2年半。 鈍いアイツは、まだそのことに気づいてない。 ホント、なにもかもに、鈍いヤツ……。 ま、それが薫なんだから、しょーがない。 鈍くて、泣き虫で、ほっとけなくて……。 ――ブー、ブー、ブー。 ポケットから、バイブ設定にしてあったケータイを取り出す。