得意そうに話すお母さんに、おばさんは笑顔でうなずいてるけど……。
赤いスポーツカーって……。
勢い込んで、おばさんに聞く。
「あの、それって、始業式のちょっとあとくらいの頃の話ですか?」
「あぁ、そうね。
4月の上旬だったわね」
「その車、私も学校で見ました!」
「あら、ホント?
井出先生って言って、付属高校の先生なんだけど、
大学の理事長の娘さんでもあってね。
理事長の代理ってことで、計を熱心に誘ってくださってたの」
「そうだったんですか……」
「それで、計も、その熱心さに打たれて、すぐにでも転校したいって気になったらしくて。
高校から行けば、大学の授業にもすんなりついて行けるみたいだしね」
「はぁ……」


