ある朝、登校のときに、真っ赤に目をはらしてる薫に気づいて、
「どうした?」って聞いたら、「ハムスターが死んじゃった」って、しゃくりあげて。
それから、毎日毎日泣いてるから、見かねて、4日目に、母親に頼んでポッキーを買ってもらって、薫んちまで持ってった。
そしたら、アイツ、魔法がかかったみたいに、パッと泣き止みやがって。
うちの母親も、薫んちのおふくろさんも、声あげて笑ってたっけ。
それを見て、薫本人も笑い出して。
俺ひとりが、笑わなかった。
だって、すごくホッとしたんだ。
薫が泣き止んで。
笑ってる薫を見て。
あぁ、よかったって、心から思ったんだ……。


