「だったら、せっかく同じ電車で帰れる場所に家があるんだ、それを利用しない手はないだろう?」
「でも……、それって、なんだか抜け駆けしてるみたいじゃない?」
「はぁ?」
「だってほら、ほかの悠馬君をねらってる子たちだって、ホントは悠馬君と、もっといっぱい話したいんだよね?
なのに、たまたま帰る方向が同じってだけで、私ばっかり悠馬君と一緒に帰ってたら、ほかの子に悪いっていうか……」
「……おまえ、ホントにバカだな」
「は? 今、バカって……」
「いいか?
おまえは、ガサツで、体力しか能がなくて、今まで一度も男と付き合ったこともない、恋愛経験値の低い、悠馬と付き合うなんて、まずとうていムリな女なんだよ。
せめて、家が同じ方向にある、くらいのアドバンテージ利用しなくて、どうするんだよ?」
ちょ、ちょっと、今、なにげにすっごい悪口言われたんですけど!
けど、それより……。


