「……なんだけど、本田さんはどう思う?」
悠馬君が聞いてきた。
よその高校の子たちのことを、ひそかに意識してても、
悠馬君の話は、ひと言も聞き逃してない。
そこは、抜かりない私。
だって、せっかく悠馬君と楽しくおしゃべりできる機会を、ムダにしたくないもん!
それに、今も、さっき子たちは、こっちの話に聞き耳を立ててるっぽい。
ここはちょっと、彼女たちに、いじわるしてやろう……。
「私はねぇ、守りのかなめに近藤を持ってくるのも、ひとつの手なんじゃないかと思うんだ」
わざとマイナーな選手の名前を挙げる。
きっと、彼女たちには、私たちの会話は、チンプンカンプンだろう。
それもまた、ひとつ、優越感。
ささいなことだけど、今この時間だけは、私と悠馬君だけがわかる会話をしていたい。


