恋のコーチは幼なじみ


「南大田。本田さんは?」


「私はそのひとつ手前の大田」


「へぇ、そうだったんだ。
今まで全然会わなかったね」


「ホントだねー。
あ、私いつも、自分とこの駅の階段に近い車両に乗ってたからかも!」


「あ、わかる。俺もそう。
南大田は、一番後ろなんだ」


「大田は、3両目」


「そっか、だから会わなかったんだね」




そんなたわいもない話をしている間に、電車がホームに入ってきた。


一緒に乗りこみ、ふたり分だけ空いていた席に、並んで座った。




「あっ、そうだ。悠馬君、昨日はありがとね」


「え? あぁ、教科書?
いいよ、あれくらい。
っっていうか、結局、ずっとサーカーの話してて、全然教科書見なかったしね」