ビクビクしながら、ぎこちない笑みを作って答える。
ねぇ、さっきの音、聞こえてないよね?
どうか聞こえなかったと言って!
心の中で祈ってると。
「あれ? 俺のこと、知ってる?
なんかで一緒になったことあったっけ?」
私の心配をよそに、不思議そうに聞いてくる悠馬君。
「あ、いや、そうじゃなくて。
春菜、えーっと、テニス部の柴川 春菜(しばかわ はるな)と仲良くて、彼女から聞いたことあって」
「あ、そうなんだ。
そういえば、柴川さんも同じクラスになったんだよね?」
「うん」
「でも、まだ来てない……か」


