血だ

ほんの少しだけ開いた扉と壁の隙間から見える赤い液体を見て、疑惑から確信に変わった。

気付かなかったフリをして家に引きこもる考えが頭によぎったが、もしかしたら人の命が関わっているようなことだったら、と思いやめた。

家の外の状況は知らないが血が出ているとならば、開かざるを得ない。


「ふぅっ・・・!」


さっきよりも力を込めて、扉に体当たりした。


ガコン


乾いた音がした。

直樹は外に出て、扉の裏側を見てみた。

そして、真っ黒な目を見開いた。