秋の終わりの夕方、

雫と庭にチューリップの球根を植えていると、


あや子叔母さんがどたどたと走ってきて、


満面の笑みを浮かべながら言った。



「子供ができたみたいなの!」



僕と雫は、しばらく呆然としていたが、


事態を飲みこむと


「おめでとう!」


「よかったね!」


と言い合った。



 叔母さんが鞄から取り出した胎児の写真を見せてもらうと、


まだ小さな塊でしかなかったが、それは確かに生きているのだ。




「ここにいるのね。」


雫が、まだ何も変化の無い、叔母さんのお腹をさすり、耳を近づけた。



「心臓の音が聞こえるかな?」




まだ、聞こえないわよぉ。二ヶ月目だもの。


叔母さんが、そう言って雫の髪をなでる。



「雫ちゃんと同じ、女の子だといいな。」