彼女は、しゃくりあげて泣いた。


身体の震えはもう、止まっていた。


裸足の雫と一緒に灯台を出る。


重い、鉄の扉を開け、外に出ると、朝の眩しい空気が


僕達を包んだ。


ふいに雫が空を見上げて呟いた。


「あ、月が見える。」


空に浮かんだ、真白い三日月は


太陽の光に今にも打ち消されそうに浮かんでいた。


地球上から見たら弱々しい光。


だけど、確かに月は輝いている。


気になって、雫の二の腕を見る。


ノースリーブのワンピースから突き出た


細い腕に刻まれた、三日月は少しだけ薄くなっているような気がした。
 


 それが、僕らの長い夏休みの終わりだ。