宗太は、自分の部屋のカーテンレールで首を吊った。


普通は、そんな物で自殺を図ったってレールが外れ、


床に尻から落ちるくらいだ。


実際、それで我に返り自殺を思い止まった人だっていると聞いた。


だけど、宗太が不運だったのは、150センチしかない小柄な体型だったことだ。


カーテンレールは壁から外れず、


ただレールが弓の様にしなり、


頚動脈を圧迫された彼は膝を床に着き、


宙吊りになったまま15分後に発見された。


息はあった。


しかし、血液が流れなかった脳は確実にダメージを受けていた。




 宗太は、脳麻痺の状態でずっと生き続けている。


もう2年になる。




僕はあれから、一度も彼に会っていない。