それから毎日の様に、


雫が家に入り浸るようになった。


僕らは、まるで小さな頃の夏休みの延長の様に、


一日を過ごした。


雫も僕も高校には行っていないから、


一日がとても長く感じる。


朝起きて、テレビを見ていると雫がやってきて、


一緒に喋ったり、


散歩に出かけたり、


ゲームをしたりというのを繰り返す。


雫は、すっかりあや子叔母さんと仲良くなって、


一緒に出かけたり、お菓子を作ることまであった。


 

 僕の拒食は治らなかったが、


気分が悪くなると、雫がぎゅっと手を握ってくれていた。


「だいじょーぶ?」


雫の、少しのんびりと間延びした喋り方で聞かれると、


胃の痛みが少し和らいだ。



 雫も、新しい傷を作ってやって来ることが多かった。


だけど、僕もそれを咎めたりはしなかった。


消毒して、包帯を巻いてやる。


おかげで包帯を巻くのが得意になった。



 僕も、雫も単調な毎日の中で、ずっと戦っているのかもしれない。