「──というわけでやってきました、かくれんぼのお時間です。」
貴文はほぼ棒読み状態でそれを言った。
昼休みの廊下に4人立っていると、かなりの邪魔になることを知っていながら。
「鬼は涼太です。んじゃ始めー」
貴文は相変わらずの面倒くさそうな声で試合開始のホイッスルを鳴らした。
「はっ!?」
次の標的にされた涼太は、大げさすぎるくらいの驚いた顔をした。
「20秒くらい数えたら探していーから。」
そんな涼太に対し、貴文は相変わらずでそう言った。
夏樹や晴輝はすでに走り出している。
しかも、人混みに紛れて見えなくなった。
「…ということで、頑張って。」