黒い服に身を包む俺
その前には写真の中で小さく微笑み
手を振る仕草をする女性


2013年5月5日

俺の恋人

神崎美音は帰らぬ人となった



美音はもともと病弱だった
そのためか色白
でも、ぷっくりと柔らかい唇
笑顔を絶やさなく
明るくて
この世でただ一人の愛しい女だった

小さくて可愛くて守ってやりたくなる
そんな女だった

思い出が走馬灯のように蘇る

笑いあった時
喧嘩しあった時
喜び合った時
泣いた時

俺はその思いを胸に美音を見据えた
泣かないと白い部屋の中で

約束


したから


あの指切りしたから


俺は手のひらをみた
薬指には愛の証

俺は顔をあげ小さく写真に笑いかけた


約束はたしたからな