そこにいたのは全身黒のスーツを着た、サングラスをかけた、何かのスポーツをしていそうな人が2人いた。

「ダメですよ。先輩。
女の子はもっと優しくしなくちゃね」

一歩、後ろにいたナンパが得意そうな男がチャラい笑顔で先輩を押しのけ言った。

「その人から離れてくれないかな」

笑顔を向けられているが信じられない。

「あなたたちは誰なの?
この人のなに?」

「オレらは……う〜ん」

隣にいる先輩を見るがムスとした顔のまま答えない。

「その人にお仕えしているSPだよ」

いかにも嘘をついている。
祀莉は女性を背中にかばうように男性たちを見て、チラッと女性を見る。
女性は肩に手を置き、SPと自ら名乗った男性から隠れるように、でも手は小刻みに震えている。
女性がSPのもとに帰りたくないのはあきらかだ。

「祀莉さん、戻りたくない……」

今にも消えいりそうな声で言う。
どんな状況で女性が家を出たのかわからない。嫌がっている人をどうして連れ戻すのかもわからない。

「大丈夫」

どこにそんな根拠があるがわからないけど、祀莉は後ろに下がりすぐにお店の扉に当たった。