ケンカの原因はそれだけではなかったような気がするが今は思い出したくない。
しばらくは兄の顔を見たくない。




どこをどう歩いたのかわからない。
閑静な住宅街の小さな公園の中に祀莉はいた。
すべり台、砂場などがあり天気の良い日は親子連れで遊んだらとても楽しそうだろうな。
私もこんな所で父と兄、3人で遊びたかった。
誤って転けると2人が駆け寄って来て「なにやってんだよ」とか「気をつけなさい」笑い合いながら優しく慰めてほしかった。
公園で遊ぶのに飽きたら近くのお店に入り仲良くご飯を食べて何気ない会話、学校でどんなことがあったのか、どんな人が好きなのか、いろいろ明るく楽しく話したかった。
そんなことを思っても父はいないし、兄は変わってしまった。
祀莉が思っている理想の家族になれない。

どうして変わってしまったのかな?
ふっと空を見上げ、どこからか何かが聞こえる。
それはこの公園内の中から聞こえた。